身体のしくみ
マッサージしてもらった直後は軽いのに・・次の日には元通り。そんな経験ありませんか?当院に来院された方から一番よく聞く言葉です。
力の強さが足りないわけでも、通う回数が足りないわけでもありません。マッサージしている場所とこりが生まれている場所が違うことがあります。
マッサージで肩が楽になることは本当
マッサージの後に軽く感じる要因に、緊張していた筋肉が緩和し血流改善した、ということが考えられます。それは「今こっている状態」に対する変化で、こっていた理由は解決していません。
こっている場所と原因は違う
背骨は積み木のように骨が重なってできていて、骨と骨のつなぎ目には小さな関節が左右に並んでいます。
この関節はその場所ではなく、離れたところに痛みを感じさせることがあります。首の下のほうにある関節なら、肩の上や肩甲骨の間に痛みが出ます。
「肩がこっている」と感じていても、原因は首にあることが多々あります。その場合は肩をどれだけマッサージしても、原因には触れていません。
すべての肩の痛みがこれに当てはまるわけではないので、どこが原因になっているのかを先に確認する必要があります。
マッサージしたくなる場所の下が働いていません
出典: Gray's Anatomy (1918) / Public domain / Wikimedia Commons
肩がこったときに手が伸びるのは、首から肩にかけての盛り上がりです。ここは僧帽筋上部(そうぼうきんじょうぶ)という筋肉です。
僧帽筋は首の付け根から背中の中ほどまで広がっていて、上部は肩を持ち上げ、下部は肩甲骨を引き下げて支えています。
デスクワークやスマホの時間が続くと、この役割分担が崩れます。下部が働かないぶん上部だけが支え続けるので、上部だけが硬くなります。マッサージをしても上部にまた負担が戻ります。
手をつけるのは硬くなった上部ではなく、働いていない僧帽筋下部と前鋸筋(ぜんきょきん)です。この2つが働き出すと、上部の負担が減ります。
ご自身で確かめてみてください
道具はいりません。痛みが出ない範囲で試してください。
- 腕を横から上げる:鏡の前で腕をゆっくり横から上げます。肩の高さを超えるあたりで肩がすくんで耳に近づくなら、僧帽筋上部だけで持ち上げているのかもしれません。
- 肩甲骨を下げる:椅子に座って両手を座面につきます。手で座面を軽く押しながら、肩を耳から遠ざけるように下げます。この下げる感覚が分からない場合は、僧帽筋下部の出番が減っているのかもしれません。
当てはまっても心配はいりません。分かれば手のつけどころが決まります。痛みや痺れが出るときは中止してご相談ください。
私自身マッサージに通う側でした
私も以前は首と肩の痛みに悩んでいて、薬を飲まないと生活できない時期もありました。
変わったのは身体の正しい動かし方を知って、自分で運動をするようになってからです。姿勢が変わって痛みを感じる頻度が減り、車の乗り降りまで楽になりました。今もストレッチと自主トレーニングは続けています。
あのころの私は通い続けるお金と時間を積み重ねていました。痛みに耐えている時間があるなら、その時間で身体を動かしたほうが早いと思います。自分で対処法を知っていれば、痛みが出ても自分で立て直せます。
だから当院ではリラクセーションだけで終わりにはしません。
当院では施術の前に確認します
まずどこが原因になっているのかを、首の動く範囲・肩甲骨の位置・腕を上げたときの肩の動きから確認します。骨模型や動画を使って、今の姿勢が症状にどう影響しているかを一緒に見ながらご説明します。
そのうえでゆるめるところはゆるめ、働かせるところは働かせます。ご自宅で続けられる運動もお伝えします。
※効果には個人差があります。痛みや痺れが強い場合は無理をせず、まずはご相談ください。
根拠: 僧帽筋下部・前鋸筋への運動と頸肩部痛の変化 — Andersen CH et al., 2014, Journal of Occupational Rehabilitation / 慢性頸部痛に対する運動の効果 — Mueller J et al., 2023, Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy
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